『すべての仕事はクリエイティブディレクションである。』 古川裕也

プロダクトマネージャの仕事に共通する点が多いので、備忘までに振り返って読みたい箇所を抜粋しておく。 (こんなに抜粋したら著者に怒られるかしら)

 

すべての仕事はクリエイティブディレクションである。

すべての仕事はクリエイティブディレクションである。

 

 

 クリエイティブ・ディレクションの仕事を一言でいうと

「課題→アイデア→エグゼキューション」

 

クリエイティブ・ディレクターとという仕事を続けるとできるようになること

  1. 定義する

  2. 仮説を立てる

  3. プリンシプルをつくる

  4. 全体性を把握する

  5. ベストな悩み方を示す

  6. イデアの良し悪しがわかる    

1. 定義する今回果たすべきことの定義

どういうアイデアであるべきかの定義。どういう果実をもたらすべきかの定義などなど。CDの仕事のかなりの部分を占めるのが、自分の頭の中にあることを〝他者〟と共有することだから。 「なんとなくわかります」のままにしておくことは、とても危険なことなのである。定義するのだ。どんな些細なことでも。それは、アイデアの共有に資するだけでなく、自分のアタマのなかの〝アイデアらしきもの〟が、どの程度のものかを教えてくれる。 

2.仮説を立てる

特に最初期段階においては、正確さより、何でもいいから、とにかくみんなに一度、課題に対する仮説を提示することである。なぜなら、CDの仮説からすべてが始まるからである。 

3.プリンシプルをつくる

今回の仕事でやっていいことと、やってはいけないことを規定することである。目の前の仕事の原理原則、力学を明示するのである。 

4.全体性を把握する

そもそも今回の本当の問題は何で、それはどこにあるのか。それはキャンペーンという形で正解が出せる問題なのかどうか、広告で解決可能なのか、商品そのものがいちばん問題なのではないか、経営レベルの問題なのではないか、などなど。本当の原因を探り当てるためには、全体性においてすべて考える。 いちばんカメラを引いて眺めるという行為のことである。まるごと捉まえる。まるごと考える。まるごと解決する。それがCDの取るべき態度である。

5.ベストな悩み方を示す

CDのやるべき行為は、立ちどころに悩みを解決することではない。よい悩み方、適切な悩み方を明確に提示すること。

6.アイデアの良し悪しがわかる

目的との関係においてのみ、アイデアの良い悪いは判断される。これが意外に難しい。クリエイティブ・アイデアは、ビジネスとしての論理的整合性と表現物としてリクツ抜きにグッとこさせる力の両方を満たしていなくてはならないから。  

 

スキルクリエイティブ・ディレクターがすべき4つのこと(実践的なやり方)

  1. ミッションの発見

  2. コア・アイデアの確定

  3. ゴールイメージの設定

  4. アウトプットのクオリティ管理

 

1. ミッションの発見

 ミッションと課題は別のものである「その問題が、本当の問題なのか?」 仮に、今現在、課題という形でみんなが思っていることが本当の、つまり最も根源的な課題なのか。ここがずれていることが少なくない。 それを明確化・言語化して、具体的な目的にまで昇華させること。よい結果を導き出しやすい「明確で正しい困り方」に凝縮させること。ディレクション側から言い換えると、イデアを考えるべき範囲を限定して、考えやすい状態にすること。それが、ミッションの発見という、クリエイティブ・ディレクションの最初の仕事。これがトンチンカンだと、その後の作業はすべて無駄になる。

ブランドがミッションとカスタマーの欲望とがミートする領域を想定しておかなくてはならない。いわば今日的世界的欲望から考えた方がいい。
例)ボルボ「地球から交通事故を完全に失くす」

仕事のプロセスにおいて、立ち戻るところが人によってずれていると、たいていの場合、途中で空中分解してしまう。

ミッションは上に引っ張り上げなくてはいけない 「ミッション・ドリヴン」
優れたクリエイティブ・ディレクターがよく口にする、共通のセリフ群がある。「そもそも、これって、どういうことだっけ」「この問題って、そもそも問題なんだっけ」「そもそも、いちばん大事なことって、なんだっけ」「一個だけやるとしたら、そもそも、なにをやればいいんだっけ」「そもそも、これって、やった方がいいんだっけ」など。 読んでいただいたとおり、「そもそも」が連発されている。常に、根源まで遡るのが、クリエイティブ・ディレクターの最初の仕事であることが、よくわかる。ミッションの発見という最初のプロセスは、以前よりずっと、重要度を増しているのである。
例)メルボルンの地下鉄「駅周辺のアホな死に方」キャンペーンのミッション「地下鉄構内での事故死を減少させる」

 

2.コア・アイデアの確定

哲学をシェアするためのプロセス 必ずやっておかなくてはならないことがある。ブランドの社会的存在意義を定義することだ。コーポレートであれ、プロダクトであれ、ブランドの本質を突き詰めて考えることだ。そのブランドは、そもそも何のためにこの世にあるのか。何をするために生まれてきたのか。誰にどんな種類の幸福をもたらすのか。 ブランドが存在する意義を確定すること そのブランドの本質の本質の本質の本質は何か。ワンフレーズに凝縮するのだ。 ただ、優れたコア・アイデアであればあるほど、具体的な表現アイデアを考えるべき場所を狭く限定する。できるだけ狭いほうがいいのだ。そのほうが、掘るべき場所だけを、深く考えることができる。
例)フィロソフィーとプロダクト:Apple"ThinkDifferent"という企業スローガンに凝縮された。   
P&G「すべてのおかあさんをエンカレッジする」。そこから確定したコア・アイデアは、「オリンピックで尊敬すべきは選手のおかあさんである。おかあさんがいちばんえらい」。

コア・アイデアとは、哲学をつかみとれるようにするためのツールである

イデアというものは、1ヵ所でもダメなところがあれば、即0点だからである。すぐわかる。論証可能である。けれど、いいアイデアというのは、論証できない。「いい」方の判断は、しばしば非論理的、直観的である。ただし、ただし、それを信用するためには、その時点まで、論理的に突き詰めておかなくてはならない。それではじめて、直観が活躍する準備ができるのである。「やった。これしかないぜ」と初期段階から思い込むのは、CDの怠慢である。じゅうぶん論理的に不自由な状態に追い込んでからでなければ、判断してはいけない。

クリエイティブ・ディレクターは、「概念係」 発見・確定と同様に重要なのが、共有である。アイデアは、眼に見えない。普通、脳の中にある。けれど、クリエイティブ・ディレクターは、それを、チームとシェアしなければならない。この時、クリエイティブ・ディレクターは、論理的に振る舞わざるを得ない。正確に脳内をシェアできるのはロジックの力だけなのである。

3.ゴールイメージの設定

4.アウトプットのクオリティ管理